園立寺の枝垂れ桜
広島県山県郡北広島町大朝に園立寺というお寺があります。ここは広島県と島根県の県境あたりで、近くにスキー場が
あり、素晴らしい自然のあるロケーションです。
圓立寺は浄土真宗本願寺派のお寺で、鎌倉時代初期の西暦1200年ごろに創建されたと伝わり、およそ500年前に真宗に改宗されました。
山門
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園立寺 山門 |
このお寺の枝垂れ桜は、お寺が江戸時代初期にこの地に移転した時に記念植樹されたと伝わっています。樹齢360年の枝垂れ桜が今も春になると人々の心を和ませます。
境内の奥へと広がっています。
圧巻の枝垂れ桜
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大きく開いた枝垂れ桜 |
樹種 江戸彼岸の枝垂れ桜
樹齢 推定360年
大きさ 幹周囲2.7m
高さ 9m
まるで、傘のように大きく広がる桜のスケールの大きさに思わず、息をのみます。
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見事な枝ぶり |
見上げると見事な桜の花びらが空いっぱいに広がります。
桜の木の下の石碑
「良きものは一つにて足る 高々と老木の桜 咲き照れる庭」と幹の横にある石碑に刻まれています。
まさに、この枝垂れ桜一本で花見を満喫できます。
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横広がりの枝垂れ桜 |
圓立寺本堂
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園立寺 本堂 |
広島は安芸門徒と呼ばれる浄土真宗の多い地です。この圓立寺も浄土真宗のお寺で、本堂の右上には親鸞聖人の像がしっかりと立っています。
そして、本堂正面の壁には丸に三つ引きの家紋が見えます。
毛利家の中国地方制覇に貢献した吉川家に由来があるのでしょうか?
本堂の中からお経が聞こえてきました。
外で漏れ聞くお経も、お寺の環境にぴったりで違和感が全くありません。
読経は日本のひとつの文化だと思います。良き声でしっかりとしたお経を聞くとうっとりします。
東京の築地本願寺では、お経がひとつの観光イベントとなっています。5-6人の和尚がお経を合わせます。合唱に似て、感動を覚えたことを思い出しました。
お寺さんと言えば、葬儀や法事など、直接的な生活に関わる御縁が少ないように思います。来世だけでなく、現世を生きることに目を向け、仏教を文化として捉えてみると、仏教を身近に感じることが出来て、新しい見方、価値観が生まれるのではないでしょうか。
お地蔵さま
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かわいいお地蔵さん |
地蔵菩薩を一般に親しみを込めて「お地蔵さま」と呼ぶそうです。衆生を救う現世利益の仏様です。
よく見ると、圓立寺にはかわいいお地蔵さまが、三体お立ちです。両親とお子さんのご家族のお地蔵さまでしょう。なんとも愛らしく微笑ましいものです。このようなお地蔵さまをはじめて目にしました。
お地蔵さまは、日本の民族信仰で同祖神 (村の守り神として道の辻に祀られる石仏) として、また、子供の守り神としても信じられています。
よく、災害などの不幸があったところにお地蔵さまが建立されると聞いていましたので、哀しいイメージを持っていましたが、この圓立寺のお地蔵さまは、本来の前向きに仕合せを願うお地蔵さまのイメージを受けました。
お地蔵さまは、地蔵菩薩として現世の仕合せの御利益を願い、また、悲しい出来事を託してきた、日本人の生活に密着した仏様であったことを感じます。
「桜」と「お地蔵さま」は、日本人の心のルーツの一つである事をあらためて思いました。
以上